かいせつ

​

「いじめをなくしたい」小学校の学校新聞から童話へ

　原作の「とべないホタル」は、小学校の学校新間に載せられたものです。作者の小沢昭巳さんは、そのクラスの担任でした。子供の頃 “いじめられっ子” だった小沢さんは、自分の生徒たちの中から、教室の中から、“いじめ” をなくしたいと思って書き綴りました。「とべないホタル」の感動は読んだ子供たちからその親たちへ、クラスからその地域の学校へと拡がっていき童話として発行され、その部数は、6 0万部にもなりました。

​

環境の大切さも

　ピピは、羽がちぢれていて他のホタルのように飛ぶことができません。そのため、仲間はずれにされて悲しい思いを味わいます。しかし、ピピは負けていません。精一杯、明るく生きようとして、仲間に認められ、受け入れられていきます。
　自然も、勝手な行動をする人々によって “いじめ” られています。ホタルのピピたちが安心して住める「美しい環境」は破壊し続けられているのです。風のためにおやどを失ったピピたちは、美しい水を求めて冒険の旅にでます。その旅は、観る者にも自然の大切さを教えてくれる事でしょう。

​

​

あらすじ

 

　夏の夕暮れ、清らかな流れの中でしか生きていけないホタルたちが誕生します。次々に生まれたホタルたちは、美しい水の上で光っています。ところが、光っているだけで、とべないホタルがいます。ピピです。
　羽がちぢれてとべないピピは、乱暴者のショウやわがままなミミたちにいじめられ、 悲しい日々を過ごします。ある日、おやどの近くに新しいクモの巣を発見したピピは、一生懸命、危機の信号を仲間に送り続けます。ところが背後からクモにおそわれます。そのピピを救ってくれたのは、仲間のキラです。
　「ボクは一人じゃなかった…」ピピは他のホタルたちとなかよくなりました。ユーモアのあるユウ、世話好きのルル、音楽好きのラン、みんな仲間です。
　しかし、楽しい日々を嵐が吹き飛ばします。多くのホタルが死に、生き残れたのは8匹だけ。キラは目がつぶれ、アイはもう光る事ができません。周囲の自然が失われていく事を嘆いていたクワガタさんは、ピピたちに今こそ川の上流へ向かって移動する時だと言い出します。そこは虹のかかる美しい場所だと。ピピたちは勇気をふるいたたせて出発します…。
 

​

作品情報
 

■製作年／1996年

■上映時間／90分

​■上映素材／ブルーレイ・ＤＶＤ

■原作／小沢昭巳「とべないホタル」(ハート出版刊)
■監督／中田新一
■脚本／加藤宏美
■音楽／キダ・タロー
■絵コンテ・演出／奥脇雅晴
■製作／「PIPIピピ　とべないホタル」製作委員会
【コロムビアミュージックエンタテインメント株式会社／株式会社東京現像所／株式会社オフィスCHK／有限会社サクセス・ロード／虫プロダクション株式会社

■主題歌／「Weaver of Love〜ORIHIME」松任谷由実
■声の出演：ピピ・藤田淑子／キラ・松本保典／ショウ・山口勝平／ユウ・岩田光央／アイ・こおろぎさとみ／ルル・井上喜久子／ミミ・折笠愛／ラン・荒木香恵／長老クワガタ・久米明／女王アリ・磯村みどり／マキガイ・浜村淳
 

監督は「海に降る雪」「ドン松五郎の生活」等で知られる中田新一。初のアニメ演出に「うしろの正面だあれ」「ライアンツーリのうた」等の話題作を生み出してきた虫プロダクションのスタッフを得て、愛と感動の冒険物語が誕生しました。

 

​

​

■1996年　ヒューストン国際映画祭　金賞受賞

​